『そんなこと、知っていますよ?』


いつもの口調に戻った大ちゃんが言った。



え……………?


それってどういうこと??


『僕は知ってます。




夏希の目に映る人を。』



…………………っっ!!



どうして……?


どうして分かってるのにあたしを好きだと言ってくれたの?



『僕はその人に勝てるワケないんです。


ただ、もしかしたら僕にもチャンスはあるんじゃないかな、って。


…………一種の賭です。



でも分かってました。



夏希に断られることくらい。



だって夏希はそんな子じゃないから。



自分の中にある人がいて、


そこへ僕を入れてくれるワケがない、って知ってるから。』



大ちゃんは芝生の上に寝転がった。



もうすぐ、日が沈む。