『なんだ?そのバカみたいな理由は…』

仁の低い声が真っ暗な職員室に響く。



『俺は俺の授業を真面目に受けないヤツが大嫌いなんだ。

海道は俺の授業を毎回居眠りで終わらしてるのに良い点数ばっかりとって…


そんなヤツがどうしても許せなかった。
すごく憎く思えた。

さっきお前が言ったように俺はいろんなことをした。

だからバレてもよかった。


ただ、アイツだけは…海道だけはどうしても許せなかった…。』


一度言葉を切る中澤先生。



今、中澤先生は何を考えているんだ…??


物陰に隠れている俺には中澤先生の表情は分からない。




『俺はあのとき最初から持ってたんだよ。
カンニングペーパーを…

それを海道の机にあったかのように演技をした。


そのことは誰にもバレなかった。
そして緊急会議。


海道は最初は否定してたのに、最後はなぜか認めた。

少し驚いたがそれでも海道が謹慎になって嬉しかった。


これが、あの事件の真相だ。』


すべて吐いた中澤先生。


そして今まで黙っていた仁が口を開く。


『で、これからあんたはどうするつもりなんだよ??』


中澤先生の言葉が聞こえない。



そして長い沈黙が続く。



『俺は……』


俺は息を呑み耳を澄ませる。