家に入り、また荷物をまとめた。

もう、ここには帰れないから。
自意識過剰かもしれないけど、達也がここにたずねてきそうだから。
せっかく覚悟してきたのにだいなしだ。
達也の人生だけは、めちゃくちゃにしたくない。

きっと、ここをでるのは、私のためでもあり、達也のためでもあるのだ。


海外用のキャリーに、詰めれるだけのものは、全部詰めた。
はいりきらないものは、ボストンに入れ最後に、掃除をした。
もう戻ってくる気は、ないから、お礼を込めて時間をかけてやった。

学校は、親戚が理事長をやっている学校へ、転入することにした。
あらかじめ準備はしていたからスムーズに決めることができた。

明日の朝、ここを出て行こう。
この家で過ごす最後の夜は、お婆ちゃんとの思い出がたっぷり詰まった畳の部屋で過ごした。

畳の部屋は、何故かポカポカした。