「昨日、俺は、あの街に用事があって行った。俺は、いわゆる裏の仕事のにんげんだ」

「ヤクザってこと?」

「あぁ、若頭ってとこだ。」

「……」

「それで、用が終わって帰ろうとしたら制服姿の女がいた。酷く哀しい顔をしていた。」

「……」

「周りの奴らは、お前を襲うことばかり考えていて、俺は、いてもたってもいられなくて声をかけた。」

「うん。」

「まいちゃんを、家につれていって、シャワーを浴びさせ、シャワーからあがったお前にドキッときた。可愛くて理性が飛びそうだったから俺もすぐにシャワーを浴びに行った。風呂でも、まいちゃんが頭から離れなくて……」

「……」

「気ずいたら俺の腕の中で甘い声を出しているまいちゃんがいた。」

「っ…」

「やっときずいたんだ。俺は、まいちゃんの事が……好きだって」

「………」

「まいちゃんが、俺じゃない誰かを思っていることは、わかってる。その涙だって、そいつの事を思って泣いてる事もわかってる。……けど、だけど、苦しんでるまいちゃんなんて見たくない。まいちゃんには、哀しい顔は、似合わないから。その顔、俺が、変えることは、できない?」

真剣な顔で言ってきた、だい。
冗談では、ないみたい。
今、だいの手を掴めば楽になれるかもしれない。
だけど……
それでいいの?
後悔しない?
後悔……