あれから、達也に声をかけても、返事がない。 だけど、手の力は、緩む事はなく、逆に徐々に強くなっている。 痛いけど、それよりもドキドキが勝ち、痛さなんてどうでもよく思ってしまう。 「ねぇっ。どうしたの」 達也は、私に視線さえも向けず、どこかへ必死に足を動かしている。 やっぱり、男の子の足は、長くついていくのに、必死だ。 景色がだんだん見覚えのある景色にっていた。 目の前には、今日の朝までいたマンションだ。