紗英さんへ
突然のお手紙ごめんなさい。ひとつ頼みたいことがあります。もし私達夫婦になにかあったら、香恋のことをお願いします。変なこと頼んでごめんなさい。それから香恋に伝言も伝えてください、もしかしたら遺言になるかも。香恋、強い人間になりなさい。どんなことがあっても一生懸命に、負けないでね!

気がつくと私は涙を流していた。お母さんとお父さんが遺した最後の言葉。胸の奥に熱いなにかが込み上げてきた。そんな香恋に見かねた紗英が声をかけた。

「元気出して?それからねおばさんにひとつ提案があるの。おばさんは、高校教師をしているの。今香恋ちゃん中1でしょ??だからあと2年したらおばさんと暮らそ?嫌ならいいけど···。」

でも···と香恋は考えた。だって普通に考えて悪いし···。それに、お母さん達の眠るここにずっといたい。

「香恋ちゃんの気持ち次第よ。ここにいたいならここにいなさい。おばさんはね兄さん達が遺した最高の宝物をこの手で護りたいだけなの···。」

そんなに考えてくれていたなんて。たった一人の私の親戚、私だって大切にしたい。

「もう少し考えさせてください。」

ハッキリ答えられないのは、私が弱いから。