ゴクリと固唾を飲む

そして、先に沈黙を破ったのは、斉藤だった


「そちらから来ないのなら、こちらから行かせて貰う」


そう言って、踏み込んだかもわからないくらい小さく踏み込むと

「──っ!!」

目にも止まらぬ早さで居合いを繰り出す

そして、休むまもなく突きを繰り出す


ブンッ

ブンッ


「──くっ!!」


止まることのない突きをギリギリかわし続ける総司


そして、攻撃のほんの一瞬あったかもわからないくらいの隙をついて攻撃する総司


総司は強い

だが、斉藤も強かった


二人の攻防戦は、無限に続くようにおもえた


だが


スパン!!


一瞬、なにが起こったのかわからなかった


「───っ、一本!」


平助の言葉に、やっと状況を理解した


総司が、斉藤の胴に木刀を当てていた


そして、総司と斉藤が、共に木刀を下ろした


「一君って、強いんだね」

総司は、「負けそうになっちゃったよ」と笑いながら続けた


斉藤も、額の汗を拭いながら、


「ああ、良い勝負をさせてもらった」


と、笑った

あの緊迫した試合の後とは思えない二人の間の空気に、なんだか気が抜けてしまう


平助も同じことを思っていたらしく、気の抜けた、間抜けな顔をしていた