私たちは、程なくして道場についた
「じゃあ、審判は平助、よろしく」
木刀を取りながら、平助に笑顔で言う総司
「ったく、しょーがねぇっ」
口では不満をいいながらも、平助も斉藤の実力が気になるのか、ちゃっかり斉藤をガン見していた
「木刀は、そこにあるのを使って」
総司は、壁に立て掛けてある木刀を指差した
「すまぬ、使わせて貰う」
そう言うと、斉藤は木刀をてにとった
そして
「なっ!!」
「君、もしかして」
なんと、居合いの構えをした
それも、滅多に、いや普通ならあり得ない、左利きの構えをしたのだ
「なにか、不満でもあるか?」
無表情で、静かに総司を見据えて言う斉藤の視線は、酷く冷たかった
そんな斉藤に臆することなく、むしろ、面白いというように笑っていた
「へぇ、面白いね。でも、勝つのは俺だよ」
そして、両者が一礼をする
「はじめっ!!」
平助の掛け声とともに、恐ろしく冷たく重い沈黙が始まった