その頃土方は────
「あ゛あ゛ああああー!!」
人間を超越した早さで走っていた
少し走ると、勝太たち、お花見軍団が見えて、涙が溢れそうになった
「かっちゃん!」
「っおわ!!」
土方は、酔い潰れ寝ていた勝太を叩き起こした
目を覚ました瞬間、鬼の形相の土方を目の当たりにした勝太は、一気に酔いがさめた
「と、と、トシ!!そんなにあわてて、どおした!!」
お前の方が大丈夫か!!と言いたいのをぐっと堪えて、土方は極て冷静に言った
「化け紅葉だ。化け紅葉がでた。花見は終わりだ。はやく逃げろ」
「「「「「…………」」」」」
その瞬間、辺りがしんとなり、視線が土方に集中した
そして…
「「「「「「がははははあああ!!」」」」」」
大爆笑がおきた
土方が、回りを見回していると、誰かがポンと肩を叩いた
「土方さん!酔っぱらっちまって幻でも見ちまったのか?」
顔を真っ赤にそめた永倉に、殺意が芽生えた
ぶん殴ってやろうと構えると、今度は反対の肩を叩かれた
「土方さん、そらぁ夢をみたんだな」
酔って、すっとぼけた顔の原田に、「お前がみてんだろ!!」と言いたいのを、死ぬ気で我慢した
そして、ゆっくり二人の手を離すと、すぅっと息をすいこんだ
「てめぇら!!!!そこになおりやがれ!!叩き斬ってやらああ!!!!」
その少しあと、河原には絶叫がこだました