と、その時だ

「おや、そこの方は客人ですか?」

花見をやっていた人のなかで、唯一まともだと言える山南がやってきた


山南は、笑い転げる佐之助と、イビキをかいて眠る新八、そして、微笑みを称える総司とニヤニヤ笑う平助という、異様な光景に、眉を潜めた



「勝太さんは、部屋で寝ているので、申し訳ありませんが、明日またお訪ねください」

山南は、申し訳なさそうに斉藤に説明した


まあ、斉藤もこの状況からして、今日はむりだと薄々察知していたのだろう


「うむ…承知した。また明日訪ねさせてもらう。失礼する」


と、いって、スタタターっと道場を出ていった


山南は、斉藤が出ていくのを確認すると、こっちをむいて「ふぅ…」とため息をはいた


「四人とも、客人に失礼なことをしてはいけませんよ」

いつも余り怒らない山南だが、今は、キラッと眼鏡を光らせている



「「「はい、スミマセンでしたっ!!」」」



私と平助と佐之助は、ピキッと姿勢をただして、腰を直角に曲げた


総司は

「山南さん、新八さん運ぶの手伝ってください」


と、のんきに尋ねていた



山南も「ふぅ…」とため息をはくと、いつものように戻った



「一緒に部屋に運びましょう。鈴たちは、部屋に戻りなさい」


そう言って、優しく笑った

総司と山南が、新八の足を二人で片方ずつもちずるずり引きずっていくのを見送ったあと、私達も道場をでた