その不可解な笑いに、平助は眉をひそめた
「佐之さん、なに笑ってんだよ、気持ち悪ぃ」
すると、佐之助は笑いを堪えながら、話し出した
「それがよぉ…俺たちが河原を出発するちっと前に、土方さんがどこからともなく真っ青な顔してぶっ飛んできたんだよ」
土方さんという言葉に、いち早く反応したのは総司だった
「なになに、詳しく聞かせてください」と微笑みを称えながらやって来た
平助も気になるのか聞き耳を立てていた
斉藤は相変わらず無表情だった
ふと近くの床をみると、新八が皆に放置され、「ぐがぁ」とイビキをかきながら夢の世界に入っているのが目に入ったが、何も見なかった事にした
「それで、どうしたの」
私が聞くと、佐之助はニヤリと笑った
「血相変えてぶっ飛んできたと思ったら、近藤さんに飛び付いてなぁ…」
段々神妙な顔つきになる佐之助に、私達は段々近づいていった
「こお言ったんだょ」
皆がゴクリと唾をのむ
「『化け紅葉だ。化け紅葉が出た。花見は終わりだ。早くにげろ』ってな…あ、あはああああ!!」
そう言うや否や、原田は笑いを堪えるのをやめ、盛大に笑い転げた
平助も「ぷすっ」と吹き出していた
これは、予想以上に化け紅葉は土方を苦しめたようだ
私は、瞬時に土方が真顔でその台詞を言っている姿を想像した
思わず「ぷっ」と吹き出してしまった