数か月経った頃、私は南美華となり、優介と二人で普通に暮らしていた。
前みたいな贅沢はできないけど、優介が居るだけで私は幸せだった。
そんなある日、私は優介と買い物に出かけ、数時間家を空けていた。
帰ろうとしたとき私と優介の家の周りは、なんだか騒がしかった。
赤いサイレンが回ってる。
「…何?」
「南さん!」
近所の奥さんがあわてたようすでわたしたちに駆け寄った。
「無事でよかったわ…」
「え…?」
目の前を見ると、私たちの家がない。
黒い柱が数本立っているだけで、家の陰も見えなかった。
「…!」
私たちは立ち尽くした。
そして、優介は膝から崩れた。
どうして…どうして私たちの家がこんな目に…
そして、私は見たのだ。
縁を切ったはずのお母様を、藤堂華子を。
家から数十メートル離れているところから、藤堂華子は不気味に微笑んでいた。