いくら触っても膨らみどころか柔らかさすらない、ヴェルの胸。
ねえこれって、ただ貧乳ってだけだよね?
そうじゃなきゃ色々やばくない?
まさかそういう趣味の人!?
「ヴェル………」
手を止めた私に小さく首を傾げたヴェル。
柔らかそうな黒髪がさらり。
ああ、仕草まで可愛い。
ちょっとした仕草に女子力って現れるけど、もしこれが女子力の現れならヴェルは正真正銘の女子だ。淑女だ。
でも、私は問いかけずにいられなかった。
「もしかして…いやもしかしなくても、男?」
返ってきたのは、
そんなわけないじゃん。俺のどこが男に見えんの。
あはは、ですよね~。美少女ですもんね~
…ではなく。
「ああ、そうだけど?」
さらりと何の気なしに返された信じられない言葉に、再び固まった。
ヴェルはそんな私を、首を傾げたまま不審なものでも見るような目で見てくる。