「嘘つくの…へたくそ」


龍は困った顔をする。
わざとらしく、彼は大きく溜め息をついて、再び歩きだした。

「…ありがとう」


龍の目を見れず、俯きながらお礼を言う。

苦しそうな彼女を見て、自分までつらくなった龍は、彼女の額に…キスをした。


「……自分の気持ち大事にせな、後悔するで」


梓紗の頭を撫で、彼は来た道を戻っていく。


「生意気すぎ!」


曲がり角を曲がる直前に、龍に向かって叫ぶ。
彼は振り向かず、笑顔で手を振り去って行った。