梓紗も立ち止まり、振り返らずに唇を強く噛む。

龍は、眉間にしわを寄せた。


「もう、好きじゃないん?」


龍は、意地悪な質問をぶつける。


…好き。大好き。
忘れたくない。

でも、それは叶わない。


「…うん、嫌い」


嫌いになんか…なれるわけない。

自分の気持ちを押し殺し、嘘をつく。
未練たらしい自分が、情けない。