風の音だけが、耳元を揺さぶる。


「明日からも……来てくださいね」


重い沈黙の中、龍が口を開く。

頷くことは…できない。
ただ、真っ直ぐに前を見つめる。


「拓さん、元気っすよ。
 たまに電話くれて、遊んでくれるし」


龍は1人、黙々と話し続ける。


「それに…あずは元気?って、毎回聞いてくるし。
 …自分で、確かめたらいいのに」


ハハッと笑うと、彼は立ち止まった。