立ち上がろうとすると、龍が耳元でささやいた。


「あずちゃんのせいじゃない」


龍の言葉に、少しだけ…助けられた。

それでも、やっぱり来るのをやめようと考えてしまう。


「あたし、今日は帰ります」


その場にいるのがつらくなり、立ち上がる。

玄関で靴を履いていると、龍がきた。


「……送る」


龍は靴に履き替え、玄関の扉を開けた。

気を使わしていることに、再び罪悪感が溢れる。
断るが、それでも、彼は帰り道を共に歩きだす。


…夕焼け空、桜の花びらが散っていく姿が、無性に綺麗に見える。

何も話さず、無言で帰り道を行く。