「ちょー!やめてぇや、…こしょばい!
 ギャー!あかん、ギブギブ!!」


夏希は足をじたばたさせ、半泣きになりながらギブを宣言する。


「なっちゃん弱すぎっ」


カケルはこちょこちょする手を止め、夏希にデコピンする。

…その光景を、力也は静かに眺めていた。


「…あいつら、仲良いでな」


力也はボソリと呟く。
それを聞き逃さなかった梓紗は、彼の方を見た。


「友達やから、あんな冗談言い合えるんですよ。
 …好きな人の前やと、緊張するでしょ?」


梓紗がフォローしていると、夏希が2人の向かいに腰をおろした。
彼女は、ジュースを飲みだす。

…力也は、何事もなかったかのように夏希に接した。