嫌な目で見ると、男は片手を差し出してきた。


「大道 瞬。 龍のいとこ」


゛龍のいとこ゛という言葉を、聞きのがさなかった。
そういうことなら…悪い人ではなさそう。


「ちなみに、何組? 俺はねー、5組」


「えっ、…一緒」


「まじで?」


2人は目を合わせ、ハイタッチする。
初対面なのに、人懐っこい彼に興味を持った。

どこか夏希とノリが似ていて、おもしろい。


2人で話ながら、体育館へと向かった。


「てか、何であたしのこと知ってるん?」


初っぱなから疑問に思っていたことを口にだす。


「龍の元カノやろ?
 そんときに、写メ見てん」


それならと、納得する。

龍は、専願でこの学校を合格している。
今日もどこかにいることを、思い出した。


…体育館につくと、校長先生の長話が始まっていた。

列の後ろに並ばされ、退屈な時間を過ごす。

まわりを見渡していると、1組の列の後ろから…夏希がこちらに手を振っている姿が目に止まった。


「あれ…石橋夏希?」


手を振り返していると、前から瞬が声をかけてきた。