だから仁に少し憧れた。


仁はいつもいつも皆の輪の中にいた。


俺と違って。


クラスの人気者みたいなやつ。


皆あいつの裏の顔を知らずに。



『黙れ』


『なんだ?』


『黙れっつってんだよ』



俺はその場から立ち去った。


逃げたんだ。


俺は人一倍弱いやつだ。


何しても仁には勝てない。


勉強もスポーツも何もかも。


だからあの日から部活を辞めた。



─光舞Side─ E N D