「…じゃあね、健!」 「おう!」 掴む手に力が入る。 「…裕二、いいの?」 後ろから遠慮がちに聞こえる声。 「何が?」 真っ直ぐ、出口を目指していた足を止めて振り返る。 「…さっきのお姉さん達。」 「は?」 お姉さんって、さっきの? 心配そうに俺を見上げるその瞳。 ………あんな奴らどうでも良い。 「…お前以外、俺には関係ねー」 泣こうが、怒ろうが、どうでも良い。 ぴくりと梨華の体が震えた。