いいかげんにしろ、
そう言うはずだった。
でも、出てこなかった。
絡んだ視線。
潤む瞳。
視線の先には、今にも泣きそうな梨華がいたから。
「……梨華」
「……っ」
逸らされる視線。
プールの水か分からない一粒の水滴が梨華から流れ落ちた。
「あっち行きましょうよ〜」
「……んな」
「え?」
完全に俺に背中を向ける梨華。
俺はその背中を逸らす事なく見つめる。
「触んな」
腕を振り払い、梨華に近付く。
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