んー、でも。
あたしは戸惑いながら言った。

「なんであたしなの?普通、家政婦の派遣所みたいのとかあるんじゃないの?」

「先方は、お前がいいんだと」

「はぁ、あたしが?」

「そういうわけだから、お願いできねぇか?芽衣子」

お父ちゃんが手を合わせながら言う。

「うーんそうねぇ…」

あたしは腕を組んで考えた。

いずれ、バイトには出ようとは思ってたけどさ。家政婦なんて、こんな小娘に務まるものなのかしら。

「先方は、お前が来てくれるなら、給金はもちろん、お前の学費から生活費まで、面倒見てくれるっていってんだ」

「え?まじで?」

なにそれ、すごい太っ腹。お給料もらえちゃううえに、あたしの学費や食い扶持まで面倒見てくれんの?めっちゃお得なバイトじゃない?

これから亮二も高校生だし。規介も実も…育ち盛りで食費もバカにならない。あたしの学費が浮くだけでも、かなり助かる。その上、バイト代が手に入る!!

家計のために我慢してた、アレとかコレとか、買えるかも…!!

「あたし…やるわ!そのバイト!!」

あんなとんでもない生活が始まることなんて知る由もないあたしは…拳を握りしめて、そう宣言したのだった。