近藤ちゃんは立ち上がり窓側の壁によりかかった。

わたしは動かなかった。

座っていた席の上には教科書が出しっぱなしだった。


「彼女…七海は倉科…相太の事本気で好きです」

あたしはだまってその教科書を見つめていた。

可愛らしい字で【綾瀬七海】と書いてあるその教科書を。


「でも相太は好きじゃないんです。」

「え…」



黙って聞いているつもりだったけど思わず出てしまった。



「もちろん、最初は好きだったと思いますよ!


 でも今は絶対好きじゃない」


「何でわかるの…」

「わかります!相太が今七海と付き合ってるのは

 同情です!恋なんかしてない!」



近藤ちゃんをみたら悔しそうに下唇をかみしめていた。