「…っは…やめ…て」

「嘘つく先輩が悪い」

それがキスだと気付くのに時間がかかった。

初めてのキスだった。
唇に手をやってみると
別にいつもと変わりはなかったけど
でもまだ感覚が残っていた。


あの時七海ちゃんに向けていたような声のトーンだった。


「何で無視するんですか・・・」

「何でって…別にいいじゃない!彼氏ってわけでもないんだから!」

「ダメ」

やっぱいつものヘラヘラしたギザな少年とは
打って変わって冷静で何かありそうな感じ。

「ダメって…相太君はあたしの何?

 何でもないじゃない!」

「ダメなものは、ダメですから。」

意味わかんない…

「先輩かわいい」

いつもの感じが戻ってきたみたいだった。

そういう目でからかう相太君が。


「か、彼女…いるじゃん」