でもあたしが向くことはなかった。
「そっか」
そういいまた前を向いて取り残した
黒板の文字をノートに書き写した。
♪キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り
クラス中が動き出した。あたしも自分の席から立ち上がり
彩の席に行こうとした。
「彩…って、取り込み中か」
行こうとしたけど彩が幸せそうに
姫路君と話していたから行くのをやめて戻ってきた。
また自分の席で顔をふせた。
「そうちゃーん!」
窓の下から聞こえてきた声はなんだか前より
ハキハキした声になった気がする。
…良かったんだ。あれで。
これで別に相太君とは会わなくてすむし!
そう、別に元から知りあいってわけじゃないんだから
いいんだよ!