「ごめんなさい!せんぱ…、先輩?」

その声を聞いた時安心した。

すごく、すごく、安心して
期待しても良かったんだって。

調子にのっても良かったんだって。


「泣いてるんですか?」

「んな、泣いてなんか…ないんだか…」

ボスッ。

「そ、相太君?!」

何故か、目の前は真っ暗で瞬きをしても
その世界は変わらなくて

でも暖かくて、居心地がよくて。

体温が伝わって、ドキドキしっぱなし。

今、相太君の腕の中にいるんだ。って考えるだけで

顔が赤くなっていく。



「ごめんなさい。今日女子につかまってなかなか

 抜け出せなくて。ずっと待っててくれたんですよね?」


優しい声に包まれて素のあたしが出そうになったが

やっぱ恥ずかしくて嘘ばっかり出てくる。



「ま、待ってたわけじゃないんだからね!

 でも…このままでいさせて…」