「木内君っ」


無愛想な木内君。
話しかけてくれた木内君。
タオルを貸してくれた木内君。
--好きだと言ってくれた木内君。

どれも幸せなことだった。


チラッと木の陰に探していた人物が見えた。

しゃがみ込んで頭を押さえている。


「木内君ッ…‼」

すぐにその木の場所までいった。

人影はあまりなく夏祭りの曲があたり一面に聞こえる。

「何でくるんだよ」

「ごめんね」

「俺がただ辛い」

「ごめん…」

「謝るなよっ」

そうやって顔をあげた木内君の目が一瞬キラッと光った。

「来なくてよかったのに」

「・・・」

「会場で花沢を見つけた時ビックリしたよぜってぇ来ないと思ってたから」

「…ぇ」

「でもそれは俺に会いに来たわけじゃないってわかったから」

「ちが…」

「いいよ。嘘つかなくて」