「…先輩っ」
「う…うっ…」
木内君いるから泣いちゃいけない。
わかってるんだけど涙が止まらない。
「そっか」
ポツリと吐かれた言葉と同時に片方の手が離れた。
「木内君っ…!」
スタスタと人ごみの中をあるいて行ってしまう。
待って…待って…
自分勝手かもしれないけどあたしが今日会わなきゃいけなかった人はあなただから。
ちゃんと言わなきゃ。勇気を振り絞って言ってくれた木内君に…
「相太君」
「…どうしたんですか?」
「待ってて。」
そう言って相太君から離れて木内君が歩いて行っただろう道を全力で駆け抜けた。
いない…いない…どこっ…
「木内君…」
5分くらい探したけど木内君がいなくて。
下を向くとポツポツとコンクリートが滲んでいった。
泣くな。
泣くな。
でも涙は止まらない。