「浴衣きなくて本当にいいの~?」
「いいってばあ」
半分苦笑いで子供みたいな母に返すとムッスーっという顔をして「ぶーいってらっしゃい」と行って見送ってくっれた。
「うんじゃあ」
カチャンとドアを閉めポケットから携帯を取り出した。
時刻は6時40分。
約束の7時まではまだ時間がある。
家からそう時間はかからないのでゆっくりと歩き出した。
川沿いを歩いているといろんな景色がみえる。
川の向こう側は提灯やら太鼓の音やらにぎやかだ。
あまり行きたい気はしない。
けど…
会わなきゃいけない人がいる。
逃げちゃダメ。
自分の口ではっきり伝えなきゃいけない人が…
橋を渡りきると大音量の音に頭がクラクラする。
ダメ、逃げちゃダメ。