「…やめてよ」
「んあ?」
「…腕掴むのやめて」
「あ・・・・ごめん」
ハッとした。自分がどうしてこんな事を言ったのか。
嫌、きっと内心嬉しいなんて思ってないんだ。
はっきり言って諦めさせてほしい。
幼稚園から片思いなんてアホ。
あたしに似合わない。それに相太にはあの素敵な人が一番似合っていると思うから。
「ねえ、相太」
「…何?」
「行きなよ」
「え…?」
ピタリと足を止めるとそれに気付き相太もキョトンとした顔をしながらとまった。
「どうした?」
なにが、なにがどうした…よ
「いきなって」
強く言うと相太の表情から悔しみの顔がうかがえた。
「…どこに」
ここに来てまでこいつは何を…。
「…俺には行く場所なんてない」