「ううん」

相太も掛け時計に目をやった。

「あ…」

その瞬間目がウロウロと同様していた。

「どうした?」

「…んでもねぇ」

何かを隠すかのように相太が偽の笑顔を向ける。

「さあ、じゃぁ車で帰りますかね。

 楓夏ちゃんも一緒に」

「あ、は…」

「俺はいい」

あたしの返事をさえぎるかのように力強く相太がおばさんをみる。

「何言ってるのよ」

「いいから」

ここは市内の小さな病院だから家からはそう遠くない。

けど…


「大丈夫だしこれくらい」

ニコッとまた作った笑顔を向ける。

「あっそぉ…わかったわ好きにしなさい。」

「相太…」

「楓夏ちゃんは乗っていきな。」

「…」

「楓夏は家に帰りな。」

ポンと腕を頭にのせられジンジンと熱くなる。