彼女のハキハキとした声には絶対に嘘はない。
「…そっかぁ」
「私、夏祭りの日相太と行くんです」
「え?」
「でも、多分相太は来ませんよ。私の所には」
確信したかのようにきりっとあたしの目を見る。
「こさせませんから」
泣きかけの彼女の顔がぐっと胸に突き刺さる。
彼女の為にも、協力してくれた彩の為にも、
私には行かなくちゃいけないところがある。
「ありがとう。」
「…じゃああたし帰りますね」
スクバを肩に担ぎ「でわ」と歩いて行ってしまった。
その姿を確認し、鞄から携帯電話をとりだす。
「あった」
受信メール欄からある人の名前を探しだした。
慣れた手つきで文字をうちパタンと携帯を閉じた。
あたしはこの人の所に行かなければならない。
「よし」
あたしもスクバを手に取り校門に向かってゆっくりと歩みはじめた。