ギュッと掴んでいる手が要約離れた。
ヒリヒリと真っ赤に染まっている。
痛い。けど…変。
手の痛みよりも他のどっかがチクンといたんでいる。
「ゴホゴホッ--」
風邪をひいているのか苦しそうに咳こんでいる。
大丈夫…?そんな言葉が駆けてあげられたら…。
でも、あたしは素直じゃない。
本当に素直じゃない。
こんなときにでもあきらめなきゃって
そんな事しか思えない。
ちっぽけな心。
「先輩…ゴホゴホッ」
「…ん」
そっぽを向き相太君を視界に入れないようにする。
恋しくなってしまって、辛い。
「・・・どう ゴホゴホッ ・・して」
「な、なにが…」
「どうして ゴホゴホッ--
無視…するの」
咳交じりの、けれど彼から必死に出て来る言葉がズキズキと
刺さる。
--わかった。心が痛いんだ。あたし。