何かを感じたんだろう。
「夏祭りの日待ってるから」
今度は気持ちのこもった笑顔で
じゃあなッ!っと手を振った。
「ゴホッゴホッ、疲れたぁ…」
先に帰られたら意味がないので
ふらついた体を全力で走らせた。
数分後先輩があの友達の人と下駄箱から出てきた。
グッと手に力を込め先輩の方に歩いて行った。
先輩は俺が近づいてきたのがわかったのか
下を見ながら歩き出した。
「…ッち」
あからさまにんな事するなよ…
辛い…だろ。
「理恵先輩」
先輩との距離が縮まった所ではじめて名前で呼んだ。
ビクッとした表情を向けてきた。
目が泳いでいてでもこっちに合わせようとはしない。