だが、まだ疑問は残る。

問題は、私が“ゾンビパウダー”を使われた記憶がないというコトだ。


「しかし、いつ、私は“ゾンビパウダー”を摂取したのだろうか」


「今ゾンビになってるってことは、昨晩、ですかね。“ゾンビパウダー”は傷口からすり込んで使うんですけど、何か心当たりはありませんか?」


「“ボス”に洗剤のようなモノをすり込まれた程度だが」


「ああ、じゃあそれですね」


「なるほど……」


あれだったのか!

やはり昨夜ではないか!

思いっきり昨日の出来事にヒントがあったではないか!

ヒントというかもはや答えではないか!


やれやれ、そんなコトにも気付けないとは、私も落ちぶれたモノだ。

しかし、傷薬と間違えるようなさりげない方法であったので、仕方がないとも言える。

そうだ、仕方がなかった。

仕掛けが巧妙すぎて気付けなかっただけなのだ。

やれやれ、その程度の仕掛けにも気付けないとは、私も落ちぶれたモノだ。


さて、遅くはなったが、そろそろ“グレーマスク”の誘惑に答えるとしようか。