「このパソコンには、へなちょこ様のデータが全て記録されています」


なるほど、“グレーマスク”の太ももに置かれたノートパソコンのコトか。

なぜ、私はゾンビになどなってしまったのだろうか。

出来ることなら、あのノートパソコンに生まれ変わりたかった!


「コードネーム“へなちょこ”様。性別、限りなくひ弱な男」


「“男”の前にずいぶん余計な言葉が入っているようだが」


「趣味、化粧道具を女性店員のいるレジで買い、“なんだこの人?”という女性の視線を楽しむこと」


「勝手に人を変態にするのはやめていただきたい」


「“ボス”と名乗る人物に“ゾンビパウダー”の実験台にされ、ゾンビになる」


この女、何者だ?

なぜ私のコトをここまで知っている。

しかも、誰にも言ったことのない趣味まで!

いや、いいだろう。

趣味のコトはこれ以上触れると不味い。

事態が好転するコトはないと断言出来る。

ここで私が彼女にすべき質問は一つだ。


「なぜ、“ボス”の存在を知っているのだろうか?」