これはどういうコトだろうか。

私の部屋に突然入り込んできた私のファンだと思われるマスクの生足美女が、私に銃を向けている。

無意識に、私は両手を上げていた。


「お嬢さんにひとつ、お願いがあるのだが……」


「何でしょう? 聞くだけは聞いてあげます」


「殺さないでいただきたい」


「無理です」


銃声が私の部屋に響き渡り、鉄の塊が私の胸のちょうど心臓のあたりを貫いた。

叫び声が漏れそうになるが、必死に堪える。

殺し屋は叫ばない。

それが私が持つ殺し屋のイメージだ。


「ぎゃあぁぁあ! 痛いぃぃい! 死ぃ…………なない……死なない」


一体何が起こったのだ?

女の銃から発射された弾は、確かに私の心臓を捉えていたはずだ。

にも関わらず、私は生きている。

それどころか、痛みすらない。

先ほど痛いと叫んでしまったのはそう、ノリだ。

私のお茶目な部分が出てしまったと考えていただきたい。


「どういうコトだ。なぜ、私は生きているのだ?」


「言ったはずです、“無理”だと」