だがそれにしてもこの女、なかなかの美人だ。

マスクで顔が半分隠れているとはいえ、その美貌は隠し切れていない。

“マスクをした美女のスーツから伸びる生足フェチ”の私にはうってつけの女だウヒョオオ!


しかし、なぜこの女、堂々と私の部屋にいるのか。

私の部屋に入る初めての女になるワケだが、おそらく私の部屋にいる理由は、“生足”にある。

そう、つまりこれは“誘惑”だ。

私を誘っているのだ。

困ったコトに。

女の誘いを断るのは、私のポリシーに反する。


“女の誘いは断らない”


それが私のポリシーだ。

だが私は今、男の“義務”ともいうべき、ソレを持っていない。

出来ちゃった結婚などというものはやはり邪道だ。

男たるもの、結婚してから妊娠というプロセスは、必ず守らねばならない。

上手く出来るかどうか不安はあるが、シュミレーションに余念はない。

おそらく大丈夫だろう。

それに、つまりこれが私の初体験になるワケだが、初体験というのはその対象がなんであれ、大抵上手くはいかないものだ。


「……というワケで、薬局に買いに行く。少々ここで待っていてくれ」


「……“何を”でしょうか? バカにつける薬は売っていないと思いますが」