「ほら、掴まれって。」

ぐいっと引っ張られて、立たされた。

「ーったくぼーっとしとるから転ぶんだよ。ちゃんと気をつけろよ?!」

そう言って彼は私の髪の毛をくしゃってした。

初めての笑顔を見せながら。



ぁあきっと
この人は悪い人じゃない。

言葉使いこそは悪いけど、きっと優しい人だ。

何の根拠もないのに、ふと、そう思ったんだ。