雑誌の隙間の下から覗くと、ローファーだった。

 アイツ、かな。

 靴の主は少しの間そこで立ち止ったままだった。
 何だよ早くしてくれよ、もしアイツじゃなくて別の奴だったら俺、ここに居る意味皆無なんだけど。
 呆れつつも様子を伺っていると、ゆっくりとその靴の主が深呼吸をした。
 え、何をするつもりだよ。ココロの中で思っていたら、ストン、とすぐ隣に布のすれた感触。
 誰か分からないけれど座った。

 これでアイツじゃなかったら俺、どうなるんだこれ。面倒ごとはごめんだ。

 ゆっくりと、寝ているフリをして呼吸を繰り返す。