「まさかとは思いますが、慎太郎の好きな子って……私?」
「まさかだよまさか! 今のこの流れでも気づかれない俺、不憫!」


 両手で顔を覆って泣きまねをする慎太郎。
 けど涙なんて出てる訳なくて……おぃっ、笑ってんの見えてんですけど!


「え、ちょ、えぇぇ」
「萩野の身に染みるまでいくらでも語ってやるから、覚悟しとけ」


 そうやって笑う慎太郎の顔は、好きな子を語るときのそれで。



   end.(初10'12'05)