「もうやめようよ」
「何を?」
「慎太郎、前に好きな子いるっていってたじゃん」
「ああ、覚えてたんだ?」


 彼の声は淡々としてる。
 私なんてもうグダグダになりそうなのに。
 顔をあげられないままで頷く。

 受けられた私の手が、ずっと彼の手に捕まってる。


「こんなことしてたら、その娘に振り向いて貰えないよ?」
「なに? 心配してくれてんの?」


 彼がふっと笑う。