頭が真っ白になった。母親が静岡で看護士なのでそこで入院することに。それまで普通に働き夜は私の家。昼間は余り支障も無く普通にデートした。しかし夜、すごい痛みが来るのだ。のどの奥から出る声。現実を実感した。さすってあげる事しか出来ない。彼、苦しみながら
「ごめんね」
の繰り返し。眠りに付いたと思ったらまた。時には頭がふらふら周りバタッと倒れたり、その姿を見るのがつらすぎた。一週間、きつかった。
入院スタート。シバタ君の体、手術出来ない為ラジオ派治療で治すと。
「こんな俺、別れよう」
と泣きながら言われたりもした。私にはシバタ君が居なきゃ無理だった。しかし中々ガン、小さくなっていかない。若いから進行も早い。メールが来た
「今までありがとう。病院もう出るから」
母親と先生が話してるのを聞いちゃったらしい。直る可能性、低いと。シバタ君、頑張る意味が無くなったと言うのだ。一生懸命に説得した。
「低い可能性でも頑張ろ。今でも大好きだから」
何とか説得出来、頑張ると。部屋のロックを閉めてたみたいで外から先生達が呼んで居る。母親も面倒見切れないと。さすがに元気も無かった。東京に良い先生の病院を見つけたみたいだ。すぐ移動した。毎日電話が来た。苦しみが来るまでずっと話す。のどの奥から声が出て意識失い、先生来る。収まりまた電話。つらかった。集中治療室で治療始まる。足縛られ放射線浴びる。食べ物も液体。1日経ち電話が来た。息が切れていた。
「頑張ってって、言ってくれないかな」
何回も言った。そしたら「退院したら子供作ろおね」
何も言えなかった。つらい声だった。もしかしたら子供が出来ない体になるかもだったみたいだ。
それから1週間、電話が来た。治ったのだ。明るいシバタ君だった。しかも今日来ると。久々の再会。お互い最高に喜んだ。