「父さん、オレ諒子と将来結婚したいと思ってる」



「えぇ?!」




声を上げたのは諒子だった。


驚きすぎて瞳を震わせている諒子を気にする様子もなく

要が父親を見る。




「結婚って…

要と諒子ちゃんは兄妹だろ…


…確かに血は繋がってないけど…

法的に許されないだろ…


…本当に、そんな関係なのか?」



冗談を言うはずのない要に
父親が確認するような言葉を投げかけた。


要が父親の不安そうな顔を見ながら頷く。




「ああ。

お互い、好きなんだ。


法的に結婚できない事は知ってるよ。


だから父さんにお願いがある」



あまりの展開に言葉も出ない父親がなんだか可哀相にすら思えてくるほど

要の態度は冷静だった。







本当なら


『なにやってるんだ!』


そう怒ってもいいはずなのに



要の怖気づかない態度に

温厚な父親はすっかり言葉を失っていた。






「オレが就職してしばらくしたら結婚したいから、

だからそれまでに母さんと離婚してくれない?」



「離婚っ?!」




要の言葉に、

諒子と父親の声が重なる。






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