しばらく
沈黙が続いた。
見つめ合ったまま時間だけが過ぎて…
少しだけ驚いた表情を浮かべた要は
何かを考え詰めるように押し黙っていた。
そんな要が向けてくる視線に耐え切れなくなった諒子が目を伏せる。
答えなんて…
要からの答えなんて望んではいなかった。
ただ…
苦しくて苦しくて…
黙ってるなんて出来なかった。
家族がどうとか…
考えるよりも先に言葉が出た。
不思議と後悔はなくて…
でも
これから発せられる要の返事を聞くのが恐かった。
『恋人』
そんな未来が来ない事は分かってる。
だけど…
ここまで大きくなった気持ちを拒否されるのは…
やっぱり恐かった。
「好きって…
…なに?
冗談だろ?
だって…オレ達、兄妹だろ?」
要の返事が恐かったはずなのに
その言葉を聞いた途端に諒子の気持ちが荒立つ。
恐かったのは…
振られる事。
だけど、要の答えは…
「ばかじゃないのっ?!
冗談でこんな事言う訳ないじゃんっ!!
…最悪だよっ…」
諒子が涙を浮かべたまま家を飛び出した。
「諒子っ!」
後ろでかすかに要の声が聞こえたけど振り向かなかった。
『冗談だろ?』
振るならいい。
だけど…
こんなに溢れてるあたしの気持ちを否定しないで―――…
なかった事になんて…
冗談になんてしないで―――…
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