「そうだよ…
家族…」
だからこそ…
言えないのに…
この関係を
憧れだった家族を
壊したくないからこそ…
言えないのに…
「諒子…
…オレが嫌い?」
俯いたままの諒子に
要が少しためらいがちに言葉を落とした。
嫌い…?
「…違うよ」
あまりに見当違いな事ばかりを言う要に
家族だと言い張る要に
腹が立って…
どうしょうもなく苦しくなって…
諒子が俯いていた顔を上げた。
目を逸らすことなく見つめる要と
涙を浮かべたままの諒子の視線がぶつかって…
「…あたしは要くんが
好きなんだよ…」
諒子が
溢れ出た気持ちを言葉にした。
静かなリビングに
時計の秒針の音が響く。
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