翌日、夕食の買い物袋を提げて帰ると…
リビングのソファで眠る要の姿があった。
なるべく合わせないようにしていた顔…
見ないようにしていた要の姿に…
諒子の胸がギュウっと一気に苦しくなった。
重たい荷物を持って帰ってきたせいか、
呼吸まで苦しい。
視界から
耳から
手から
匂いから
どんなに自分から要を消したって…
結局、自分の一番深い部分では要の事しか考えていなくて…
頭を…
心を
要が支配していて…
必死に見ないように
触れないようにしてきた自分が全て無駄に思えた。
数日、会わない努力をしても
今の一瞬で要への想いが膨れ上がる。
どうしょうもなく好きな気持ちが湧き上がって泣きそうになる。
だけど…
『いけない想い』
家族を…
壊す想い…
抱えるにも大きくなりすぎた気持ちに
諒子の目から涙がこぼれる…
力の抜けた手からスーパーの買い物袋がすり抜けて…
ガサッと音を立ててリビングの床に落ちた。
その音に目を覚ました要が
涙を流す諒子に気付いて…
驚いた表情を浮かべた。
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