「諒子は昨日、いつもより頑張って夕飯作って父さん達の事待ってたんだよっ


楽しそうに…

うれしそうに笑いながら…」



自分の名前が出て

諒子が少し体をすくませる。



いつもは冷静で淡々と話す要が珍しく声を荒立てていて…

なんだか知らない人に見えてしまう。





「そんな事言ったって仕事だったんだよ。

確かに諒子ちゃんには悪い事をしたけど…」



「昨日の事だけじゃねぇよっ

毎日毎日家事に追われて…

ろくに遊んで帰ってくる事もできなくて…


それでも父さんと母さんが笑ってれば幸せだからって頑張ってる諒子の気持ちも少しは考えろよっ



父さんも母さんも諒子に甘えすぎだよ…


諒子が可哀相だ…」




要の言葉に…


諒子が音を立てないように
自分の部屋に戻る。


溢れ出しそうな涙に唇をかみ締めた。





大好きな家族が…


大切な家族がケンカをしていたのに…




止める事もできなかった。






何に変えても守りたい家族…




そのハズなのに…





要が自分の事を思っていてくれた事の方がうれしくて…





涙が流れた。






家族が大切なのに…



円満な幸せな家庭が一番の望みなのに…





日に日に増していく要への想いに…



心が揺れる…





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