本気で心配してくれてる湯川くんが何だか子犬みたいでおかしくなってしまう


「何笑ってんだよー!」
「いや、何でもないって…」
「っつーか俺咲多に謝んなきゃなんないんだよ!ごめんな?入学式の時…勇気出して話しかけてたのに俺のせいでさ…あの場に居ない方がよかったよな〜」

その時もそうだった。彼はいつもどこかに申し訳無さを感じている様な瞳をして笑っている。

自制してたつもりなのに、溢れる程の思いをどんどん喋りたくなる
「違うよ!あたしはあの時ほんの少し、ほんの少しだけど湯川くんとも喋れて逆に凄く嬉しかったんだよ?湯川くんみたいにキラキラしてる人、人生で初めて見たもん」
つい本気になってしまった…引かれちゃったかも
ところが彼はあの申し訳無さそうな笑顔のまま
「…ははっ、俺キラキラなんかしてないよ?」
「そんな事ないよ!!ホントに憧れるくらいキラキラしてる!!」
「そっか…。ありがとな。嬉しいよ」
今度は何だか困ったように笑う湯川くんは無理して笑ってるようで、でもどこか安心してるようだった。


静まり返る保健室。先生は別室だし今は放課後らしいけど保健室の窓からは人気のない中庭しか見えない

「っと〜、もう部活の時間だ。もう行かなきゃ」
「あ、そっか。ごめんね?わざわざ…時間無いのに」「そんな気にしないで?俺がしたくてしたことだから。俺咲多と喋ってみたかったんだけど入学式以来、まだ怒ってたらどうしようとか思って話しかけらんなかったんだよな〜」
そんな風に思ってたんだ…ホントはこれ以上好きになりたくないのについ言ってしまう
「これから、いっぱい喋ろうよ!あたし湯川くんと喋ってると楽しいし!」

びっくりしたような顔をした湯川くん。その後満面の笑みとともに
「…ありがとう!!」
あとさ、と彼は続ける
「咲多って綺麗な瞳してんな。」